柳川藩主立花邸 御花 | 福岡県柳川市

修復工事の記録

ずっと変わらないために、生まれ変わりました。

01 構造補強 | 02 屋根瓦の葺き替え | 03 大廣間西床の復原 | 04 壁紙の張り替え | 05 ハードル

01 構造補強

地震のときに屋根を支える鉄骨枠組を、見えないところに組み込みました。

1910年(明治43)に落成披露された立花伯爵邸は、洋館と和館からなる邸宅が上流階級のなかで流行していた、明治時代後期の建築様式を今に伝えます。伯爵立花家は、「西洋館」に玄関と応接の機能をもたせ、「大廣間」を客間として使っていました。

立花伯爵邸平面図

立花伯爵邸平面図

旅館「御花」航空写真 1970年代(昭和50年代)

旅館「御花」航空写真
1970年代(昭和50年代)

小屋組に西洋館と同じ「キングポストトラス」を採用した大廣間は、2階建てほどの高さの大きな屋根をもち、18・18・12畳の3部屋および畳廊下をあわせた約90畳の室内は、一大空間として利用できるよう壁がありません。さらに、欄間障子と、当時は最新技術であった窓ガラスや電気照明による明るさと、濡縁から沓脱ぎ石を中心に松濤園を見わたせる配置が、江戸時代の大名家住宅にはなかった、新しい開放感を生みだしています。

西洋館と大廣間

西洋館と大廣間
キングポストトラス:中央に支柱が立つ形式の三角形構造「トラス」

その反面、大きく重い屋根を支える壁がない構造は、耐震性に不安があったため、緻密な計算のもと、開放感を損なわず、既存の木造構造を傷めない構造補強をおこないました。

赤色が鉄骨枠組

赤色が鉄骨枠組

可逆性のある基礎をかためる
基礎工事前

基礎工事前

基礎工事後

基礎工事後

構造計算に基づく精密な検査

構造計算に基づく精密な検査

基礎
基礎
クレーン車による遠隔操作
クレーン車による遠隔操作
クレーン車による遠隔操作
クレーン車による遠隔操作
「針の穴を通すがごとく」
補強
東側

東側

西側

西側

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